日本でのDV被害者支援
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望ましいのは切れ目のない支援
かけがいのない仲間とともにまっしぐら
最後に一番言わせていただきたいのは、シェルターの支援員、同行支援員として勉強してみようと、ここに来られた方もおられると思いますが、皆さまから「土方さん、活動を止められ年金生活で海外旅行をし、映画やお芝居、友だちと美味しいものを食べてという ――少しはのんびり楽な人生を送ったら」と言われます。
マイナンバーで総務省のお役人と口論していた時、なぜ、ここまでしなければならないかと、ふっと思った時があります。しかし、被害者の方々の苦しみからの脱出に向け、お手伝いをさせていただくことは、私の将来の生きる使命のような気がいたします。高齢となった今も私には同じ仲間がいます。お金には代えられない仲間がいます。その仲間とともにまっしぐらに向かっています。
性暴力禁止法をつくろう!
女性や子どもに対する性暴力も多くなっております。今年 10 月に沖縄でシンポジウムを開きます(2015 年 10 月)。沖縄は基地の町、米軍の基地の町、そこには性暴力を受けた女性がどれだけいることか。地位協定とい って、警察が入ることができない地域がこの 日本に存在しているのです。
言いたいときには言っていいのだ!泣きたいときには泣いていいのだ!DV防止法は どうにかできたけれども、まだ性暴力禁止法、 性暴力防止法、この法律は日本にはない。 何があっても女も子どもも泣き寝入りしては いけない。ここをやらなければ解決したこと になりません。「性暴力禁止法をつくろうネ ットワーク」という団体がありますが、日本 社会には性暴力禁止法が必要です。皆さんの お知恵とお力とエネルギーを貸してほしい。
話をするのが下手ですが、皆さまにお目にかかれたことを改めて感謝いたします。
ありがとうございました。
シェルターに入られた方には、自立支援のサポートをしますが、まことに残念なことに当事者には経済力がなく、将来のことを考え苦しんでおられる方が多いです。シングルマザーの賃金の一覧表を見ても分かるように、差別ですよね。我が国は経済国であっても女性が自立できるような給料をもらえていない。同じように働いて、家族のために寝ずに家のことをしても女性の給料は男性との間に差別があります。この社会構造でいる限り、ザルに水をこぼすようになってしまうのだなと。働いて対価が払われるのは当然なのだという社会の仕組みにしていただけたらと思います。
行政の相談員さんからの依頼で来られた方でも、相談員さんからもお聞きし、相談しながらシェルターにいる間は自立支援に向けてお手伝いをさせていただいております。
今年も4月当初からシェルターには4組の方が来られました。いろいろな方が長い間、暴力を受けて警察や女性相談センターを経由され入って来られます。シェルターにいるのはほんの少しの期間ですが、それを垣間見た私たちは、皆さん、重いものを抱えて来られて、シェルターを出て去られて大きな羽ばたきをして、苦労しないで行くわけはないですし、一生懸命働き、僅かな賃金を受け、足りない分は生活保護費で補てんしてもらい子どもを育てなければならない。小さな子どもを抱えて子育てしながら学校にも通わせて、大変ですが子どもの笑顔に支えられ頑張っている姿を見ると「ああ、よかった」と一安心します。苦労の多い当事者は決して「この子どもはいらない!」と言う人はどなたもいません。子どもがいたからここまで生きてきました。大変ですが子どもに支えられ乗り切れる気がします、と言われるのを聞くたびに私はほっとします。
本当は、一番望ましいのは切れ目のない支援です。この方たちが羽ばたきもう何も問題がないということはありません。離婚もできていないし、婚姻費用、離婚後の子どもの親権とか、そういうことで、家庭裁判所で調停、離婚するまでの話し合いなど、なかなかうまく事が運びません。加害夫は口がうまくて、「オレがこういう男になったのはコイツがそうさせたのだ、だからコイツの方が悪いのだ!」と平気で家庭裁判所(家裁)の調停員に豪語していると耳にします。
口がうまく、家裁では、女性は眼を泣きはらして待合室に戻って来ます。そのたびに「悔しい! 私のことを人前では悪く言って、ほんとにズルイ!」と。調停員の前ではうそぶいて、そういうことを聞いて、帰路の同行ではタクシーの中で眼を泣きはらし、ともに悔しい思いで帰って来ます。何度も何度も調停をしますが、調停が思うようにならないと、今度は離婚裁判になります。被害者にはいろんなことが展開され私たちもともに泣いたり悔しがったりしているのです。