今後の課題

少ない難民受け入れ

世界中で 59,500,000 人が、内戦や治安悪化などによって難民や国内避難民などとして故郷を追われ、強制的に移動しなければならない状況に置かれている(2014 年)。日本人口の実に半数近くに当たる人々が世界中で難民の状態にあるということになる。このうち、19,500,000 人が、母国を離れ他国に逃れている「難民」、約 38,200,000 人が自国にとどまって避難生活を送っている「国内避難民」、そして 1,800,000 万人が「庇護希望者」。 

2014 年末、シリア(3,880,000 人)がそれまで最も多く難民を出していたアフガニスタンを抜いて最多の難民発生国となっている。アフガニスタン(2,590,000 人)、ソマリア(1,110,000 人)と続き、次いで、スーダン、南スーダン、コンゴ共和国、ミャンマー、中央アフリカ、イラク、エリトリアの順に難民を多く生んでいる。 

(特定非営利活動法人 難民を助ける会 HP から) 
 


2014 年度、前年の 3,260 人を大きく上回る 5,000 人が日本で難民申請を行った。日本にも毎年難民が渡日しているが、日本政府が難民として認定した人は「11 人」。難民としては認められなかったが、人道的な理由を配慮し在留を認められた人が 110 人。認定者と合わせた 121 人が日本に在留する許可を政府から受けたことになる。日本の難民受け入れ数は、ほかの先進国と比較するとまだまだ少ない状況だ。2013 年の統計では、アメリカは21,171 人、ドイツは 10,915 人、フランスは 9,099 人、韓国は 59 人を難民として認定している。日本も、先進国として、国際社会が抱える難民問題への適正な負担を求められている。 

日本はこれまでに 1 度だけ 1970 年代に発生したインドシナ難民を大量に受け入れたことがある。ベトナム、ラオス、カンボジアで起こった戦争から逃れ、大量の難民が周辺国に逃がれた。日本は 11,319 人をインドシナ難民として受け入れてきたが、多くの人がこの事実を知らない。これまでの難民受け入れの経験を振り返り、その教訓を活かしたうえで、難民認定者や第 3 国定住で日本に来た人々に対し、適切な言語教育、生活支援を実施していく必要がある。 

2015 年の難民認定者数が 27 人と発表された(2016 年 1 月 23 日付)。難民支援協会(JAR)が把握している限りでも、難民認定されるべき人が不認定となったケースが多い。政治活動中に捕らえられ、生死に関わる激しい拷問を受けた後、命からがら出国したウガンダの男性も、約 300 ページにわたる資料で証明に尽くしたが、「迫害を受ける十分な理由がない」として不認定だった。これらは一部に過ぎない。 

(難民支援協会) 

 

国家戦略特区 外国人家事労働者

内閣府は外国籍の家事労働者受け入れについて、以下のように述べている。 

「家事支援外国人受入事業は、女性の活躍促進や家事支援ニーズへの対応、中長期的な経済成長の観点から、国家戦略特別区域内において、第三者管理協議会による管理体制の下、家事支援活動を行う外国人を特定機関が雇用契約に基づいて受け入れる事業です」 

現在、外国籍の家事労働者受け入れを決めているのは、神奈川県と大阪府。東京都も受け入れを表明している(2016 年初頭)。 
 


国家戦略特区で家事労働者として働く人のためのチェックリスト(改定版)/ Check List for Foreign Domestic Workers in Japan (Revised)

国家戦略特区の中で事業者に雇用されて「外国人家事支援人材」として家事労働を行う予定の人、またはもうすでに働いている人のために、自分の契約と権利、受けられる保護をよく理解するためのチェックリストである。 

なお、日本が国家戦略特区の中で提示している条件とフィリピン海外雇用庁(POEA)の募集要項等の条件には異なる点があり、POEA に掲載している条件と照らし合わせてチェ ックリストをつくっている。 

This is the check lists to make sure the foreign domestic workers’ contract, rights, and protection in Japan National Strategic Special Zones(NSSZ). 
This check list is made in accordance with the conditions in POEA because we can find some differences between in NSSZ and POEA. 


国家戦略特区で家事労働者として働く人のためのチェックリスト(改定)。まず、日本について、家事労働者として知っておくべきことは 3 つです。 

1. 日本は ILO の 189 号条約(家事労働者)条約を批准していません。
 ※フィリピンは批准しています。
2. 直接雇用の場合の家事労働者は、日本の労働基準法・最低賃金法・労働安全衛生法(以下、「労働基準法等」という)が適用されていません。
3. 国家戦略特区で家事労働者として働く場合は、家事代行業の企業に雇われることになり、労働基準法等が適用されます。各家庭で行う家事の内容は、雇い主である家事代行企業が、各家庭と契約した請負契約で決められた内容のみです。
 


では、この国家戦略特区の法律にそった契約ができているかどうか、確かめてください。

1.日本に来る前に 

□ ①23 歳以上で、1 年以上の家事労働の経験がある。

□ ②「N4程度」の日本語能力がある。

□ ③契約する日本の企業は、3 年以上家事代行業をやっている。

□ ④日本語や家事労働のトレーニングの費用は明確にしてもらう。
→過剰な自己負担になっていないか、必要以上に天引きされていないか要注意。
  これらのトレーニングは日本で働く企業とは関係ありません。 

□ ⑤雇用契約書はしっかり説明をうけ、来日前に渡された。

□ ⑥雇用契約書は母語、ないし英語で書かれたものと日本語で書かれたものをもらっている。

□ ⑦雇用契約書の付属文書の「2 雇用主が契約解消してよい条件」のa .“when housekeeper violates customs, traditions, and laws of Japan(ハウスキーパーが日本の慣習、伝統、法を破るとき)、日本の慣習、伝統が具体的に何をしているのか確認した。

□ ⑧渡航費用は日本の企業負担なのかどうか確認する。

2. 日本に来てから

□ ⑨家事の範囲は、炊事、洗濯、掃除、買物、児童の世話・保護(前 4 つの家事に付随して行う場合だけ認められている)、日常生活行為だけ。身体介護は含まれません。 

□ ⑩請負業務なので、家事を行う家の人から直接指示は受けない。
→直接指示を受けると、労働者派遣となり、法律違反になります。

□ ⑪給与明細をもらい、日本人と同等の給与・時給である。
→最低賃金は雇用主が支払うべき最低の時給賃金で、日本人の家事労働者の標準的賃金額と同じ意味ではありません(参考、最低賃金・時間給 神奈川県 905 円、大阪府 858 円)。不明瞭な点は、第三者管理協議会に問いただすことができます。

□ ⑫給与から、出身国での研修費や渡航費など余分なものが引かれていない。
→天引きされている費目についてすべて説明をしてもらいましょう。

□ ⑬週1日(それが難しい場合 4 週に 4 日)の休日は保障されていますか。

□ ⑭住居は企業が提供し、家賃は適切な金額である。

□ ⑮労働災害や雇用主とのトラブルがあった際の相談窓口を知っている。

⑯雇用契約を結んでいる企業の事情で雇用契約の継続が不可能となった場合、他の企業と契約を結びなおすことができる。

移住者と連帯する全国ネットワークのHPから http://migrants.jp/archives/news/checklist 

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