多分野活動領域とつながるための第4回交流学習会

シングルマザー支援の現場から
空き家を活かして地域もオーナーも母子も
三方良しの支援(2)

会場からの意見

  • 支援団体が入ることでスムーズにいく兆しが出てきているので、民間でやっていきたい。
  • 子どもや若者を支援するNPOに所属している。支援していく上でヒントをもらえた。
  • 60代の起業支援をやっている。カフェや起業支援のグループを紹介したい。
  • ステップハウスを出た方の行き先がない。国交省の制度はあるのに動きが悪いのはなぜか。
  • 障害者のグループホームにも関心がある。生活保護を受けてアパートに住むのでなく、シェアハウスがいいのではないか。
  • シングルマザーのシェアハウスをやっている。被害者と子ども達の心のケアが必要。

小山

 シングルマザーの住宅問題を課題として認識している自治体は少ない。空き家、住宅支援、住まいの権利を自治体に頼るのでなく、先行団体から学んだり、連携することが大事。地域住人から、空き家問題を学ぶ機会を作るのも1つ。議員が超党派で勉強会を行っている区もある。私たちは先行団体として、自治体にノウハウや情報を伝えて、これからの団体を育てることもしている。

〈質疑応答〉

●東京都は障害者にグループホームを推奨している。生きづらさを抱えた方たちがシェアハウスで住むのがいいと思うが、行政のシステムは?

小山 居住支援はマッチングでなく、生活を支援することがポイント。シェアハウスは多文化の方が住むのでコーディネーターが必要。コーディネーターがいるだけではなく、支援できる体制があるかどうかも大切。文化が違う場合はコーディネーターの腕が問われる。障害者、シングルマザー、高齢者など、多文化の人が全員住む家は大変だと思うが、広ければうまくいく気がする。

 補助金のターゲットは決まっていて、シングルマザーの居住にはお金を出すが、居場所には出さない。居場所の補助は、出すとしても少ない。空き家を対象としたモデル事業を公募する区がある。多世代、多文化の人を同時に住んでもらう家よりも、ターゲットを絞った方が補助金を取れると思う。多文化の人が一緒に住むことで良いこともあると思うが、運営団体として持続できるかどうか、考えなくてはいけない。

●不動産屋やオーナーは、シングルマザーへの思い込みや思い違いをしていることが多い。世の中の思い込みを覆すために、具体的にどのように広めているのか。

小山 今日のように勉強会を行うなど、知る機会を作るのが大事。不動産屋には補助金制度を使える話を、オーナー向けの勉強会ではオーナー向けの話をする。ターゲットに合わせて必要な情報を届けている。行政や国に伝える方法もそれぞれに合わせている。シングルマザーにはネットや口コミで、いつでも相談に来て下さいと伝えているため、相談は全国から来ている。
メディアを使って大々的に「世の中の思い込みを覆す」ことをすると、逆にしっぺ返しも多い。間違ったレッテルも増える可能性がある。私たちはメディアの扱いには注意しながら、伝えるべきところをわかりやすく伝えている。

●空き家活用は区によって基準が違うのか。

小山 ワンルームが多い区もあれば、空き家が多い区もある。住まいに困っている方の種類も自治体によって異なる。自治体によって住宅支援の考え方が違う。「1年空いたら空き家」は全国共通だが、地方自治体がやるかやらないかは、考え方次第。こちらから住宅支援の方法を教えている。やり方がわからないので、教えた方が早い。

 「住宅確保要配慮者」にはホームレスや障害者、外国人、シングルマザー、ニートが含まれ、行政としてすべてを実施するのは大変。私たちは、高齢者とシングルマザーの両方をやりませんかと提案している。高齢者の問題は行政がやるべきことであり、やれば行政としても実績ができる。

●若年女性の支援が始まるが、同じ年代の人が一緒に住むのは危険ではないか。8050問題もある。

小山 シェルターやステップハウスから出た人や、自治体やソーシャルワーカー、不動産屋、居住支援協議会からも依頼が来る。若年層は支援団体や本人、友人から依頼が来ることもある。
お母さん方の平均年齢は34歳くらいで、プレママもいる。10代、20代のお母さんも相談に来る。団体設立当初から支援している子どもさんは高校3年生になり、受験を控えている。

 女性向けのシェアハウスを運営している会社と連携し、1室をシングルマザーに貸してもらっている。他の団体からも部屋を貸して欲しいと依頼がくる。精神的に難しい方に部屋を提供する場合、その団体がどこまでケアしてくれるかが、気になる。私たちは母子家庭と子供に対し、部屋や服、食べものを提供するが、10代の支援団体ではない。この役割分担は明確にすべきであろう。相談員が自分で判断して、私たちに住宅支援を求めることがある。それは素晴らしいことだが、その相談員が辞めてしまうと、つながりが途絶えてします。行政とNPOが協定を結び、いつでも母子家庭支援を出来る体制ができる形だと助かる。

●引っ越し代の補助はどこから?

小山 寄付でまかなっている。引っ越し代は社会福祉協議会が出してくれるが、上限が決まっていて使えないこともある。住宅提供者10人が1万円ずつ出資するなど、住む人を応援する形ができればいい。私たちは家電や自転車もプレゼントしているが、これらは寄贈で得た品物。

●リトルワンズの運営はどのようにしているのか?

小山 4名を雇用し、その他はボランティア。住宅支援自体は、儲かる事業ではない。その他の事業を行いながら、運営を行っている。寄付には依存していない。団体運営として、自主事業、プロモーション、ブランディングは大事であり、私たちの団体はそこを明確にしている。

●行政では「ひとり親」は離婚しているか、いないかという線引きがあるが。

小山 私たちは離婚、未婚、死別で線引きをしていない。「住宅確保要配慮者」の母子家庭に、住宅を提供している。年収の上限があり、補助がでなかったり、行政の提供する住宅に住めないケースもある。そのような時は、団体の持つ住宅を提供している。子育て支援課は住宅にノータッチで、福祉課は年収を線引きにする。母子家庭、高齢者、外国人など、それぞれのターゲットに合わせた先行事例があると、行政は導入しやすいと思う



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